旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~


――アホだ。私は極上のアホだ。

今にもはしゃぎだしそうな感情を抑えこむように、私は異常な早足でズンズンと家路へと向かった。

しかも、買ったばかりのラムネグミをむさぼりズッキーニコーラまでグビグビと煽りながら。浅葱の令嬢がこんな下品な歩き食いなど、藤波が見たら激怒どころか白目を剥くだろう。

けど、そうでもしなければ私は今にも叫んでどこかへ走り出してしまいそうだった。


だって、ヤバい。超ヤバい。だってだって、私――恋してしまったかもしんない。


もう滅茶苦茶ドキドキするし、顔熱いし、ニヤニヤしちゃうし、キュンキュンしちゃうし、グワーってテンションあがっちゃうし。ああ、本当叫んで走り出したい。

「好きだーー!!ひゃっほーー!!」って叫んで、この夜道を駆け抜けさっきのイケメンを探し回りたい。

けど、そんなことをしたらフツーに不審者だし、藤波がたぶん泣くし、お父さんからビンタされるかもしんないからやめとく。 
 
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