旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~
そもそも、私はコンビニで会ったイケメンなどに恋していい立場ではないのだ。
結城の跡取りという婚約者がいて、来年にはもう挙式して私はいわゆる人妻になってしまうのだから。
恋など全くもって不毛。不必要。いらない。してはいけない。
……なのに。
「あー! すっごいときめくー! 私のバカー!!」
生まれて初めて知ってしまったときめきは、ものすごく根強く私のハートをキャッチして、これっぽっちもトキメキの手をゆるめてくれやしない。
まるでエーゲ海の風のような爽やかな笑顔、モルディブの太陽のように煌く瞳、世界中のパティシエが束になっても敵わないような極上のスイーツのような甘言。
すっごい好きなんですけど! 考えるだけでこちとら蕩けそうなんですけど!?
思い出すだけでどうしょもないほどキュンキュンと締めつけられる胸を抱え、夢に呆けるような瞳のまま、私はすっかり食べ終えてしまったグミとコーラのゴミも抱えて帰宅したのであった。