旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~
 
それから少しの沈黙があって、充さんはこちらに向き直って言った。

「まあ、俺がこんなこと言う資格はないんだけどさ。颯のこと、よろしくな。あいつ面倒くさい奴だけど、マナちゃんにはだいぶ惚れてるみたいだから。大事にしてくれると思うよ」

……社交辞令的なものだろうとは分かっているけれど、あり得なさ過ぎて私は耳を疑う。今、颯が私に惚れてるって言った?

愛想笑いのまま固まってしまった私に構わず、充さんは大げさに肩を竦めて見せる。

「さっきもマナちゃんと挨拶しただけで、あいつメッチャ睨んできやがんの。おっかねえ。あんま嫉妬深いのも考えもんだけど、まあテキトーに手なづけてやってよ」

「は!? そんな場面ありました!? いつどこで!?」

あまりにありえない事柄を並べられて、私はつい食って掛かるように問い詰めてしまった。

だって颯が嫉妬なんて! 私に妬いてくれるなんて! そんな美味しい場面、記憶にないんだけど!?

いきなり詰め寄られた充さんはギョッとした顔をしていたけど、すぐにケラケラと声をたてて笑い出した。

「マジでそれ言ってる? あいつ、マナちゃんの隣ですごい不機嫌オーラ出してたじゃん。俺にだけじゃないよ。ちょっと見てたけど、もうずっとマナちゃんの隣に貼りついて男が寄ってこないように睨み利かしてたし。パーティーの主催者が客から女主人遠ざけてどーすんだよって、遼と笑ってたんだけどなあ」

充さんの言葉を聞いて私はボーゼンとしてしまった。

確かに颯はずっと私の隣にいたけど、それは一緒に行動するためだし。……確かに私ひとりになっても女の人しか寄ってこなかったけど、それはほら、ご婦人同士で盛り上がってたから……だよね?
 
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