旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~
『やめろよ! こんなとこ登ったら怒られるぞ! 俺はやらないからな!』
男の子は親切にも止めてくれたというのに、私は遊びに付き合ってくれない彼に腹を立て、腰に手を当てたポーズで偉そうに食って掛かった。
『カッコ悪ーい! 男の子のくせにあたしより足遅いし、木登りもできないなんて! 超カッコ悪い!』
『べ、別にそんなの出来なくたって、俺は英語だってドイツ語だって話せるし、こないだのテストも学年で一番で……』
『あたしだってピアノのコンクールで一番とったことあるもん! バレエだってクラスで一番上手だし、国語のテストも一番だった!』
ムキになって言い返した私に、男の子は口をムッとへし曲げて噤んだ。
彼が言い返さないのをいいことに、私はさらに言葉を続ける。
『それから、二重飛びも一年生で一番出来るし、ポケモンもクラスで一番言える! あたしの方がいっぱい一番持ってるから、あたしの方がすごいもん!』
今思えば何がすごいのかさっぱり分からない。男の子も同じように思ったようで、不機嫌そうな顔をますますしかめて言った。
『別に、一番だからってすごいわけじゃねーし……』
しかし当時から口が達者だった私は、彼のモゴモゴした反論などすぐに打ち返す。
『すごいよ! 一番になるのは大変だもん、だからすごいの! あたし、将来は一番をいっぱい持ってる人と結婚するんだから!』