旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~
 
『すごーい! あたし木登り得意だけど、そんなに上まで登ったことない! あなたが一番だね!』

『……え?』

私の言葉を聞いて男の子は目をしばたたかせると、キョロキョロと辺りを見回した。

そして、風に一瞬身体が揺れるとたちまちへたり込み、松の枝にしがみついて震え出す。

『どうしたのー? もっと上まで行く?』

下から声をかけるものの、返事はない。首を横に振るだけで精いっぱいのようだ。

どうやら彼は夢中で登ったせいで降りられなくなったらしい。それどころか自分が思いのほか高く登ってしまったことに気がついて、動けなくなってしまったのだ。

やがてベソを掻き出した彼を見て、私は慌てて大人を呼びにいった。

すぐにホテリエや藤波、両家の家族らが駆けつけてきたような気がするけれどよく覚えていない。覚えているのはなんだか知らないけれど、めっちゃくちゃおじいとお父さんと藤波に叱られたことだけだ。


「……もしかして……あの男の子って……」

十五年前の記憶を色鮮やかに思い出した私は、唖然としながら呟く。

「そう。あいつすんげー肥満児だったんだよ。偏食でジャンク菓子手放さないようなガキでさ。今の姿からは想像もつかないだろ?」

満天の夜空に私の「えええええええ!?」という声が響く。まさか、こんな衝撃的な事実があろうか!
 
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