旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~
 
そして私は大きく息を吸い込むと、颯に向かって叫んだ。

「私は……、浅葱真奈美は、結城颯が好き! コンビニで会ったときから颯が好きで、それが私の初恋で、だから颯が結婚相手で嬉しかった! 意地悪でねちっこくて腹立つときもあるけど、でもやっぱり好き! この地球上に三十七億くらいいる男の中で、私が惚れてるのは颯だけ!」

――そうなんだ。気持ちを伝えていないのは、颯だけじゃない。私もだった。

好きなのは私だけって思い込んでたから、口に出せずにいた。

政略結婚なのに一方的に惚れ込んじゃって、虚しくて臆病になって意地張ってたのは、私も一緒。

だからこれは反省。こっちから折れるのは癪だけど、負けてあげる。十五年も馬鹿みたいに想い続けてくれていた颯への、感謝を込めて。

ポカンとしてこちらを見上げている颯の顔からは『これは夢か?』って心の声が聞こえそうだ。ド派手なパフォーマンス付きの私の告白に、頭が追いついてないっぽい。

そんな颯に、私は手を差し伸べて言う。

「なってよ、颯。私の一番に」

その言葉に、颯の表情が変わった。

少しだけ何かを考えているように複雑そうな顔をした後、颯は着ていたジャケットを放り、ついでにタイと革靴も投げ捨てる。

そしてオリーブの幹に手を掛けると、すごい勢いでワシワシと登ってきた。
 
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