旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~
どうやらそのイケメンはなかなかどうしておせっかいと云うか、人に構うタイプらしく、『さあどーぞ』と言わんばかりにわざわざ冷蔵庫のドアを開けて、私に商品を取るように促す。
「す、すみません」
なるべく顔を見せないように俯かせながらお目当てのズッキーニコーラに手を伸ばすと、私の斜め上方からクスクスと品のいい笑い声が聞こえた。
驚きつつコッソリ視線を移すと、イケメンさまはなんと私を見て優雅に笑ってらっしゃるではないか。
「ズッキーニコーラ、話題になってますもんね。僕も買いに来たんです」
「で、ですよね! これは飲んでおかないと夏を越せませんよね!!」
まさかズッキーニコーラでイケメンのシンパシーを得られるなど想像もしていなかった私は、喜びの余りついつい光の速さで彼の話に食いついてしまった。
「スイカミルクも気になるところなんだけど、ズッキーニに比べるとちょーっと冒険心が足りないっていうか。夏なんだし、企業はもっとハジけたドリンクを開発すべきですよね」
調子に乗ってペラペラとくっちゃっべってしまったけれど、イケメンは口元に手を当ててクスクスと楽しそうに笑っていたので引かれてはいないと思う。