【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち
「堅気か極道かじゃなくて人として考えてみて下さい。警察は平等なはずなのにあれは差別でした。悲しさよりも怒りが湧き出ました」
隼が私の背中をポンポンと優しく叩くぐらい怒りを露わにしていたんだろう。
それは、ここにいる極道の人たちが言うよりも堅気として生きてきた私の方が少なからずそれを主張できる立場なんじゃないかと思うからだ。
私が極道の姐さんだからじゃない。
あのまま花屋の結衣ちゃんだったとしても、目の前に傷ついた人がいたら相手が誰であっても、
『大丈夫ですか』
その言葉が一番先だと思う。
どうにかして助けたいと思うはずだ。
「気持ちのない謝罪はもっと嫌です」
なんかそこまで言ったら悲しくなって隼の背中に顔をくっつけて涙を堪えた。
「だって身体は犯人に…心はあの警察官に傷つけられたのよ。
五郎ちゃんがあまりにも可哀相じゃない。強くて優しいのにひどいよ。
何も悪い事をしていないのよ。自らの身体でお年寄りを庇って気遣って…五郎ちゃんは男の中の男じゃない。
そんな五郎ちゃんを私は誇りに思うもの」
「これ四郎」
五郎ちゃんの声に隼の背中から顔を向けると
「四郎の大事な五郎やぞ」
五郎ちゃんはそう言ってから
「四郎がそう思うならそうしたらよかとね。これが警察との駆け引きばい」
親指まで立てて大丈夫だと言ってくれた。
「小川には結衣さんの気持ちがおわかりでごぜぇやしょ。あっしらみたいな極道の為に必死に食い下がられてんですよ。これが結衣さんなんでごぜぇやすよ」
「あぁ。確かに真っ白い花だな」
小川さんは怒らずに頭を下げて部屋を出ていかれた。