籠のなかの小鳥は
後日談がいくつか———


黒仙花の一件は、宮中でちょっとした話題になったそうだ。
なにせ電気がないこの社会。女性たちの娯楽といえば、とにかくおしゃべりとうわさ話なのである。

その伝播の速さといったら、SNSも顔負けだ。

「早くも赤の宮様のお手がついた」というものから、「黒の宮様と赤の宮様が皇女をめぐってお諍いを」というものまで、いくつかバリエーションがあったらしい。

なるべく早く、人の記憶から去ってほしいと願う小鳥である。


ついでに、自分の身を護るのは自分だけと痛感して、体力維持に努めることにした。

毎夜、帳台の内側で、女房たちに気づかれないように、スクワットや柔軟体操に励んでいる。
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