先生、俺を見て(仮)






 しかし蛍も折れない。



 というか、鈍感故に引いていることに気付いてないという厄介さ。




「んーっじゃあ...得意な事は!」


「無いっす別に...ホント何なんスか」


「あるでしょ一つぐらい!ほら部活とか」


「帰宅部です」


「でも運動はできるでしょ」


「男は誰でもできると思わないでくれますか」


「嘘だあ!なんか一つは得意なやつあるはず!」


「ない」


「じゃあ料理とかは?」


「ねーよ」


「もうっじゃあ何が得意なの!?」


「知るか!あんたが勝手に始めたんだろうが!!」






 キーンコーン――――





 そんな口論を繰り返すうちに授業が始まりのチャイムが鳴った。



 いつの間にか敬語もぬけていた颯は、蛍のペースに乗せられてたことにハッとする。




「ひとっつも無いわけ?得意な事」



 尚も諦めずにそう尋ねてくる蛍に一つため息をついた。



「......勉強に関係ないだろ、それ」



 いっきに熱の冷めた颯に、蛍もまた勢いをなくし、そして授業が始まっていたことに気が付く。



「はあ...じゃあ宿題ね」


「はああ!?」


「得意な事、最低3つ考えてきて、来週までに」


「な、何で...!!」



「絶対だから、忘れないよーに」




 はい、じゃあ授業はじめまーす




 まるで何でもなかったように授業を開始する蛍に、颯は目を丸くするばかり。




 結局二時間の授業はあっという間に過ぎていった。






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