先生、俺を見て(仮)







 途端に流れる気まずい空気。


 最初のコミュニケーションが特に大事なのに。


 話しかけてくんなオーラが半端じゃない。


 これは確実に一番苦手なタイプ


 無口で感情が全く分からない。


 最悪な状況におもいっきり溜息が付きたくなった。



(だめだめ、しっかりしなきゃ...まずは名前を)



 そう思って隣に目をやると



(あれ...?)



 ふと目が留まる



 彼の横顔に。



 記憶のどこかに引っかかるその横顔。


 長い前髪が印象的で、そこから覗く鼻は筋が通っていて嫌味なほどきれいだ。


 薄い唇はいつもへの字になっていて...



「あ、」



 分かった。



 思い出した。





「あーーー!!!あんた...っ!」


「あ?......はっ!?てめえっ」





 大声を出して叫ぶ蛍


 それに気が付き、あからさまに嫌な顔をする男子生徒。


 そして二人は同時に叫ぶ。




「「隣のッ!!」」




 二人の叫びは教室の外にまで響くほどに大きかった。






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