先生、俺を見て(仮)






 ◆




「──じゃあ、今日はここまで。来週までにここ解いてきてね」


「......はい」


「ん。よし、初日はこれで終わり。お疲れさまでした」




 その一言を合図に颯は荷物を手に立ち上がる。


 それを呼べ止めるように蛍は名前を呼んだ。



「はやて君!」


「.........何」



 そっけない。


 面倒臭そうなその切り返しに、若干ひるみながらも蛍は続けた。



「この前はごめん。気を悪くさせてたらいけないと思って。もし私が講師っていうのが嫌なら遠慮せずに言って。他の先生に変えてもらったり、別の時間帯にしてもらったりできるから」



 笑顔で言った。


 出来るだけ、しつこくないように、彼がそうしやすいように。


 きっとそれを望んでいるだろうから。



 
 しかし



「......別にいいっす、このままで」



 颯はそう言うと、スタスタと帰っていってしまった。


 


 残された蛍は目をぱちくりとさせたのだった。







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