先生、俺を見て(仮)
「何で佐倉は俺にだけあんな頑なに心を開かないのかね」
「何よ、洸太。そんなの今に始まったことじゃないじゃない、ほら邪魔邪魔、ファイルとれないでしょ」
「ったく、俺が真剣に悩んでんのに」
簡単に洸太をあしらう由依。
由依と洸太は大学も学部も同じだが、それより前、中学からの腐れ縁だ。
自身の担当生徒のファイルをとりながら由依が答える。
「あんまりほたるの事ばっかり気にしてると彼女が泣くわよ」
洸太の右手にきらりと光る指輪
彼には大学に入学したころからの彼女がいる。学部でも有名なラブラブカップルだ
由依も洸太と同じ文学部なので当然の様に知っていた。
それを由依に見せつけながら洸太はにっと笑う。
「心配ご無用、仲は良好ですうー」
その言い方にムカついたのか、由依はぎろっと睨み付けた。
「どうだか、人の心は移ろうものよ。余裕ぶっこいてるとすぐ他所に行っちゃうんだから」
「俺の心配よか自分の心配しろよ、また別れたんだろうがお前」
「っさいなあ!!」
「ちょっと由依!九条先生!授業始まりますよ!」
喧嘩に発展する寸での所で蛍が止めに入りその場は何とかおさまった。