Believe
「はぁ…。なんとか終わったわ…。」
どうにか一人で彼の手当てを終えることができた。
幸いにも、彼が意識を失ってくれていたおかげで、痛みで辛い思いをさせずにすんだ。
何度か痛みで苦しそうな声を漏らすことはあったけど…。
それでもしばらく手を握って励ますと、すぐにまた眠りについてくれた。
本当によかった。
あとは彼がゆっくりと眠って目を覚ましてくれたらいい。
私は汗と血で汚れてしまった彼の体を丁寧に拭くと、運んできた毛布を彼にかけた。
「ふぅ…。とんだ一晩だったわ…。」
ベッドサイドに置いた椅子に腰かけて彼の寝顔を眺めた。
明るくなってきた陽のおかげか、少し顔色も良くなって見えた。
やっぱりここら辺では見かけたことのない顔だった。
何歳ぐらいだろう?
私と同じぐらい…少し上かも…?
何より早く元気になってくれたら。
そう思っていると、私はいつの間にか深い眠りに落ちていた。