恋の悪あがき〜甘い香りに誘われてⅡ
「私……っ、うう……ひっく…」

泣きじゃくる私の頬に手をあて、

「泣いてちゃ分からないだろ」

「……っく」

泣きやまなきゃって、思えば思うほど、嗚咽が止まらない。

「……出かけるぞ」

大樹が、私にコートを着せ、車のキーを手に立ち上がる。


・・・・・


真冬の夜道を無言のまま走る。

見慣れた街を離れ、やがて街灯が減り、真っ暗な道をどんどん進む。

なだらかな傾斜の道を進む…


チャッ


「降りて」

車を停車させ、ほらっ…と、カイロを渡される。

いつか、記事が書けないと悩む私を連れてきてくれた丘だ。

空気が澄んでいるせいか、前に来た時より街が綺麗に見える。


ぎゅうぅぅ


後ろから、大樹に抱きしめられる。
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