才川夫妻の恋愛事情
「自己中よ。でもそうなってもいい時があると思う。告白なんて、自分が伝えることで相手に心境の変化があるかどうか試すためにするものでしょう?」
「ただ好きってことが伝えたいだけの告白もあるじゃないですか」
「ごめんだけど、そういう気持ちってちょっと信じられない。男女間での〝好き〟で知ってほしいだけなんてあり得る? 絶対にそんなことないと思う。相手にどこまで望むかは別にしても、少なくとも、今よりちょっと気にしてほしいとか、何かしら欲を孕んだものだと思うけど」
「……」
いつも以上に饒舌な松原さんに、私はついに黙る。そして考える。
あの告白の中に含まれていた欲。衝動的ではあったけれど、そこに何か望みがあったとすれば。
……あれだろうな、と思い当ることが一つだけある。
「……まぁ、告白すればいいんじゃない。才川に」
「……えぇ!?」
「なぜバレた! みたいな反応だけどさすがにわかるわよ……。入社した日から野波は才川と花村のことばっかりだったし。特に最近は、才川のことよく目で追ってたみたいだしね? 本人にも気付かれてるんじゃない?」
「……」
さすがに〝既に一回告白しちゃいました!〟とは恥ずかしくて言えなかった。
バツの悪さにシートの上で縮こまっていると、松原さんはふっと笑ってこっちを見た。