才川夫妻の恋愛事情
その奇跡は具体的に説明すると、彼と私のベッドを隙間なくくっつけた。
奇跡? と疑問を持たれてしまいそうだけど奇跡です。
才川くんが「くっつけるか」って言い出したことが奇跡。
二回目のプロポーズの後、才川くんはどことなく私に甘くなった。
彼の中で何かしらの変化があったらしい。子どもを欲しがるようになったし、結婚指輪をくれて彼自身も嵌めるようになったし。ベッドはくっつけるし。一体何が起これば、六年間も頑なだったことを変えようなんて思うんだろう? 相変わらず彼の考えることはよくわからない。
わからないけど、私はただただ浮かれていた。結婚七年目にして再び訪れた新婚気分に毎分ニヤけそうになる。左手の薬指に嵌っている指輪を、意味もなく触って確かめてしまう。その度に実感する。
恋をしています。
今まで切なかったり寂しかったりしたことが解消されて。こんな幸せ、慣れてしまうのが怖いなぁと思うほど。七年目にして今が一番満たされている。
時間がない朝にもトーストを齧りながら新聞にさっと目を通す彼を、盗み見て。この人と結婚して良かったなぁ、なんてもうずっと思っていることを、また思った。