才川夫妻の恋愛事情
あ、今ちょっと家で見せる顔。

それは家内秘のことをべらべら喋ってんじゃねーよということですね?



「……すみません」

「素直に謝る花村さん超萌えるー。抱きてー」

「ぶっ」



棒読みのセリフに危うくお茶を吹き出しそうになった。



「……やめてください」



口元をハンカチで拭いながら非難の目を向けると、才川くんはにこにこと笑って ごめんねと言った。

抱かないくせに。



会社では花村マニア(謎)と名高い才川くんですが、家ではまったくそんなことありません。



不用意な発言は禁止だと指令が出て、私たちは運ばれてきたお蕎麦を黙々と食べた。彼は天ざる蕎麦を。私はとろろ蕎麦を。
もう数えきれないくらい見てきたけれど、才川くんはとっても綺麗な食べ方をする。姿勢よく綺麗にお箸を持って、正しい所作で。これ、結構私の中で大きな好きポイントかもしれない。



最後のお蕎麦をすすり終えて熱いお茶を飲む。一息ついて、才川くんは思い出したように言った。



「そうだ。花村さん」

「何でしょう」

「前から言ってたけど、今晩合コンだから」



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