溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜
「待ってくださいっ。
 好きなんですっ、貴方の手がっ」

 昌磨はそのまま、止まっていた。

「手が?」

「手が」

 そう、うっかり誤魔化すことなく繰り返してしまう。

「……斬新な告白だな」

「ああっ。
 すみませんっ。

 そこには触れずにうまく誤魔化そうと思ったんですがっ」

「お前、策略が全部口から出てるぞ」

 呆れたように言った昌磨は、
「行くぞ」
と歩き出す。

「はいっ。
 すみませんっ。

 今のは忘れてくださいっ」
と小走りに追いつこうとして、昌磨の背中にぶつかった。

 いてて、と思って顔を上げると、立ち止まり、振り返った昌磨が淡々とした口調で言ってきた。

「忘れていいのか」

「えっ、いやっ」
と慌てふためいている間に、昌磨は地下のエレベーターに乗り込んでしまう。

 急いでついて乗りながら、花音は訊いた。

「あれっ?
 そういえば、課長は今日は車で来られたんですか?」
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