溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜
 



 一生分笑った気がする。

 合田から引き継ぎを受けながら、昌磨はさっきの花音を思い出していた。

 普段、あまり笑うことはないのだが、今日は珍しく、ずっと笑っていた気がする。

 もうこれでしばらく笑わなくていい気がするのだが。

 でも、あの女、これから先、ずっと部下として居るんだよな。

 電車ですっ転んだ花音を思い、笑ってしまう。

「……飛鷹課長」
と少し怯えたように合田が言った。

「課長も笑うんですね」
と苦笑いして言ってきた。

 これが普通の人間の反応だ。

 だが、花音は笑っている自分しか見ていないから、もしかしたら、よく笑う人間だと思っているかもしれないな、と昌磨は思った。




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