溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜
「課長はこれから何処かお出かけなんですか?」

「なんでだ?」

「いえ、お金を下ろしに来られたから」

「まあ、出かけると言えば、出かけるんだが。

 今朝、ちょうど手が離せなくて、車を持ってきてくれたディーラーの人間に金を払えなかったから、持っていくところだ」

「そうなんですか」
と言いながら、ちょっとほっとしていた。

 こんな時間にお金下ろしてるから、デートかな、とか思ってしまったのだ。

「じゃ、失礼します」
と頭を下げたとき、

「お前はデートか」
と昌磨が訊いてくる。

「は?」

「あれはお前と待ち合わせてるんじゃないのか」
とちょうど会社から出てきた拓海を指差して言う。

「ああ、あれは違います。
 確か今日は呑みに行くって言ってましたよ。

 お隣さんですけど、帰る時間はバラバラなので、あまり一緒に帰ることはないんです。

 拓海はしょっちゅう呑んでますしね。

 拓海の奥さんになる人はあれ、大変だと思いますよ」
と笑って、じゃ、失礼しまーす、とこれ以上、間抜けなことをやらかさないように、そそくさとその場を後にした。


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