溺愛御曹司の罠 〜これがハニートラップというやつですか?〜
言ってる端からやらかしてしまった。
花音は店の近くまで行って、ポイントカードの入ったカード入れをデスクの引き出しに入れたままだと思い出したのだ。
慌てて取りに戻ったとき、ちらと地下駐車場が見えた。
あれ? 課長の車ある。
また戻ってきたのかな?
そう思ったが、課長の姿はなかった。
代わりに、同じ部署の先輩に見つかった。
「おっ、芹沢っ。
戻ってきてくれたのか。
このデータの修正……」
「あっ、明日でいいですか、明日でっ」
と言いながら、書類を預かる。
もう閉店時間になっちゃう〜っ、と引き出しにそれを入れ、
「お先に〜っ」
と言うと、
「なんだ急いで。
デートか?」
と笑われた。
「相手見つけてくださいーっ」
といつも返す言葉を口にして、走り去る。
ぞわぞわっと来るエレベーターに乗りながら、いや、今の言葉は今日からは正しくないな、と思っていた。
相手は見つけました、なんとかしてくださいーっ、かな?
と思って、苦笑いする。
やめとけと言われるだろうな、と思っていた。
まあ、私と課長じゃ釣り合わないよね。
そう思いながら、外を見る。
足許が落ち着かない感じにはなるが、それを我慢しても見る価値のある夜景だな、と思っていた。