溺愛御曹司の罠 〜これがハニートラップというやつですか?〜
「コンパ!?
どうした、お前がそんないい話を持ってくるなんて」
そんなことを言いながら、拓海は、ほれ、とホットココアを渡してくれる。
拓海の部屋だ。
コンパの話、言い忘れた、と思い、夕食後に尋ねてきたのだ。
こういうとき、お隣りさんは便利だ。
花音は自分が昔、水族館に行ったときに拓海にお土産に買ってきた白イルカのぬいぐるみを抱いて言う。
「ありがと。
いや、江波香穂さんに頼まれてさ」
と言うと、拓海は顔をしかめた。
「俺、あの人、苦手だなー。
性格きつそうじゃん」
「そうでもないよ。
顔がキリッとしてるし、言動がシャキシャキしてるからそう感じるんだろうけど。
ああ、あと、礼儀にうるさいし、人のミスは絶対見過ごさないから、一緒に居ると緊張するけど」
「……お前、それでかばってるつもりか」
いやいやいや、と花音はイルカを脇で抱え、手を振りながら、ココアを飲む。
「ひっくり返すぞ」
とまだ立ったまま見下ろしている拓海が親のように言ってきた。
「大丈夫」
と床のお盆にカップを置いて言う。
お前の大丈夫は信用できん、という顔を拓海はしていた。