主任は私を逃がさない

「あれほどアプローチしたのに、まだ気付いてなかっただあ!? 本気で言ってんのかお前! そもそも俺は昔から、あれほどお前に好き好き言い続けてきたのに!」

「き、聞いてないわよそんなこと」

「ガキの頃からずっと言ってたろうが! 大人になったら結婚しようって!」

「はあ? だってそれは子どもにありがちな可愛い戯れ言……」

「俺は本気だ! ガキの頃からずっとお前だけを見てきたんだ! ずっとずっとお前が好きだったんだよ!」

「ええぇ!? し、史郎くんが、そんな昔から私のことが好きだったぁあ!?」


 天地が引っくり返るとは、まさにこの事か。

 驚愕のあまり文字通り引っくり返りそうになって絶叫している私を見た史郎くんは、両手で顔を覆って嘆き始めた。


「もう嫌だ。いくら何でもあんまりだろ神様。俺は前世でよっぽどヒドイ犯罪でも犯したのか?」

「し、史郎くん?」

「てっきり迷惑がられていると思ってた。だから『史郎くんは私のことを好きじゃない』とか何とか、そういう事にして欲しがっているのかと」


『史郎くんは私のことを好きじゃない』?

 あ、路地でキスされた時のこと?

 いやだって、だってあの時は……!

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