主任は私を逃がさない

「嘘。さすがにそれは嘘でしょ?」

「嘘なもんか。俺の陽菜への気持ちに嘘も偽りも、裏も表もない」

「ええ!? じ、じゃあ本当に女の子と付き合った経験は一度もないの!?」


 私は顎が外れるほど大口を開けてしまった。

 そんなバカな! まさかこのイケメンモテ男が恋愛偏差値ゼロぉ!?

 読者モデルやってる子とか、ミスキャンパスになった子からジャンジャン告白されてたのに!?

 それを私の為に片っ端から振り続けてきたわけ!? そんな事が本当にあり得るの!?


「本当だ。俺はお前を愛してるんだから」

 得意そうに断言する史郎くんの最高に誇らしげな顔を見て、確信した。

 こ、これは本当だ。この人本当に女の子と付き合ったことは一度もないんだ。

 じゃあ路地裏でしたキスが、史郎くんのファーストキス?

 私へアプローチする時の甘い言葉も、色っぽい目付きも、あれぜーんぶ、素?

 史郎くんって天然タラシなの? あ、それに……!


「ね、ねえ史郎くん。聞いてもいい?」

「ああ。なんでも聞けよ」

「まさか史郎くん……童貞?」

「こ、こら! 女の子がそんな、はしたない言葉を使うんじゃない!」

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