主任は私を逃がさない
史郎くんは更に頭を低くして、ほとんど二つ折りのような体勢になって謝罪した。
「私が管理者として未熟なばかりに、次長に大変なご迷惑をおかけしました。心からお詫び申し上げます」
史郎くんのせいじゃない。誰がどう見ても史郎くんには何の責任も無い。
なのに史郎くんは私を庇って、自分が責任を負おうとしている。
つい昨日あんな大ゲンカした私の事を、主任として守ろうとしてくれているんだ。
仕事の上では決して私情を挟まない高潔な姿勢を目の当たりにして、胸がギュウッと熱くなる。
せめてもの償いに、私も鬱血するかと思うほど思い切り頭を低く下げて謝り続けた。
「……困りましたね。別に私は謝罪が欲しいわけではないのですがねえ」
無愛想にそう言う次長の声には、恍惚の色が見え隠れしている。
積年の思いを抱えてきたライバルの娘と、その腹心の部下を堂々とやり込めて、内心愉快でたまらないんだろう。
絶好調の次長はアレやコレやと責め立ててきて、それに史郎くんがいちいち真面目に謝罪を返している。