太陽を追いかけて


心の中で密かにそう考えていると、お母さんがまた思い出したように口を開いた。


「そういえば愛莉、昨日、担任の岩本先生から電話があったわよ。愛莉、学校でとっても頑張ってるみたいね。体育委員も普段の授業も、頑張ってくれてますって、先生が言ってたわよ」

「……え?」


そんなこと全然知らなかったから、びっくりした。


先生、いつの間にお母さんに電話してたの。


「お母さん、嬉しいわ。愛莉がとってもいい子に育ってくれて」


私は胸の奥がくすぐったくなるのを感じたけど、同時に切ない気持ちにもなった。


「愛莉は、夢とかないの?」

「……私の夢は、高校を卒業したら就職して、少しでもお母さんを楽にしてあげることかな」


私の言葉にお母さんは思った通り、本当に嬉しそうに目尻を下げた。


……やっぱり、言えないよね。


本当は専門学校に通って、介護福祉士になりたいなんて。


だってそんなこと言うってことは、お母さんにもっと苦労をさせてしまうということ。


学費だって今よりもっとかかるし、介護実習っていう実習もあるってこっそり取り寄せたパンフレットで知ったから、その実習費だってかかる。


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