グリッタリング・グリーン
「はい…」
「びっくりしたの?」
うなずくと、情けなくも涙がこぼれた。
そっか、とすまなそうに言って、葉さんが、よしよしと頭を抱きしめてくれる。
それだけでもドキドキするから、早くどいてほしいのに。
「これじゃ確かに、“心の準備”、いるねえ」
キスぐらいで、こんなんなっちゃうんじゃねえ、とこれ見よがしに口の周りを舐めてみせる余裕が、憎らしくて。
置いていかれたみたいで心細くもあって、じろりとにらむと、なだめるようにまた頭をなでてくれた。
その手を握ると、はっと引っこめようとする。
「ごめん、気になる?」
「この指だけ、冷たいので」
「そうなんだよ、やっぱり動かさないせいかな」
「痛みますか?」
時々、もう一方の手でさすっているのに私は気づいてた。
葉さんが、言葉に詰まる。
「なんか、鈍く痛むような、気がする時があって」
まるでそれがすごく恥ずかしいことみたいに、気のせいだと思うんだけどね、と言い添えるのが、切なくて。
冷えきっている指に、唇を押しつけた。
痛くなくなりますように。
寒くなくなりますように。
ねえ葉さん、私ね。
いろんな話、聞きたいです。
弱音とか、泣き言とか、私にも、洩らしてほしい。
葉さんから見たら頼りないだろうし、何かの役に立つわけでも、ないけれど。
生方、と戸惑いを浮かべて、葉さんが呼んだ。
「すっごいエロいよ」
「………」
私の深いため息に、なんだよ、と不満を見せる。
「準備できましたって合図かと、思うだろ」
「そんな簡単にできたら、苦労しません」
「いっそしなくていいのに、恥ずかしがったりとか、ちょっと怯えてたりなんて、想像しただけで最高だよ」
抱きしめられた状態じゃなければ、引っぱたいてたかもしれない。
ここまでダダ漏れな人だと思わなかった。