グリッタリング・グリーン
大事に決まってるでしょう! と怒鳴ってやりたかったけど、そう言われてしまうと確かに、気づいていなくはなかった。

だけどそれは、もしかしたら、くらいの淡い予感で。

それは言葉でもらうのとは、全然違って。


でも、これって言い逃れなんだろうか。

そう考えたら、反論できなくなった。



「黙ったらわかんない、何か言って」

「そんな言いかた、ひどいです」



思わず言い返すと、葉さんも頭に来たようで、声を荒げる。



「どっちがだよ、無神経な奴」

「わ、私ですか!?」

「他に誰がいるんだよ!」



ショックで何も答えられないうちに、葉さんはさっと身を翻して、改札を通り抜けていってしまった。

絶対に振り返るかって意志が、早足の背中に感じられる。


私はまだ、ラッピングされた箱を持ったまま。

たぶん真っ赤な顔で、涙をこらえていた。



未希さん。

彼はやっぱり、気難し屋なんかじゃないです。

もちろん、ひねくれてもいなくて。


むしろ、素直で、正直で。

言葉を選ぶってことを知らなくて。


マイペースで。

人の気持ちに無頓着で。

こっちの立場なんて意にも介さず。

鈍くて配慮がなくて何もかもが直球の。


──ただの、自分勝手な人です!



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