グリッタリング・グリーン
その物言いが、あんまり偉そうだったので、さすがにかちんと来た。

確かに私だって、気のつかないところはあったけど。

でも、お互いさまって言える範囲だったじゃないか。



「わかりませんけど、葉さんを不快にしてしまったのなら、謝りたかったんです」

「何が悪いのかわからないのに、謝られてもね」



うっわあ、感じ悪い。



「だって私が謝らなかったら、葉さんずっとそうやって、つんけんしてるつもりでしょう」

「だからさっさと謝っちゃおうってわけ」



感じ悪い!



「だって、このまま5月まで会えないなんて、嫌です」

「もともと月に1、2回会う程度だったんだし、たいして変わらなくない?」

「だとしても、嫌だったんです、ちゃんと楽しくお見送りしたかったんです、変ですか?」



噛みつくような調子になってきた私に、葉さんが面食らった顔で、いや、と言った。



「変じゃないけど」

「お気をつけてって、顔を見て言いたかったんです、わかるでしょう」

「うん」

「行ってらっしゃいって、言いたかったんですよ、それがそんなに、変ですか!?」



詰め寄る私を、目を丸くして見おろす。

どうせまたあきれてる。

ふんと軽くあしらわれるのも覚悟したのに、葉さんは。

困ったように顔を歪めて、変じゃないよ、と小さく首を振った。



「変じゃないよ、全然」

「だったら、あんな言いかたしないでください」

「ごめん」



素直な謝罪に、こっちの調子が狂ってしまう。

葉さんは、許しを待っているみたいに、じっと私を見て。

私が何も言わないせいか、もう一度、ごめん、と居心地悪そうにつぶやいた。

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