独りのかみさま
――――ガシャンッ

“ソレ”は窓を割ってきた。

“ソレ”は、男である。

男と言っても父親ではない。

けれど、全く知らない人でもない。

母親が父親と結婚する前に交際していた男だった。

「幸せそうだなァ。俺が幸せにしてやるつもりだったのに、子供まで出来てなァ。本当ムカつくわ。お前のせいで俺は不幸のどん底だッ」

男はそう言い子供に向け手に持っていた金属バットを振りかざす。

が、間一髪で母親が守った。

けれど、母親は、守ったせいで意識を失っていた。

子供は泣きわめく。

そこにちょうど良く父親が帰ってきた。

父親はこの非日常な風景を目にし、発狂した。

「うあああああああ...ッ」

父親は台所にあった包丁を手にし、男の元へ走る。

男も反撃しようとし、金属バットを振りかざす。
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