初心者オコトワリ!
「冗談じゃないですよ。本気です。」
「ハイハイ、ありがと。」
「本気にしてませんね?…まあ、いいです。それ代わりますよ。疲れませんか?給与明細じゃ、課外の俺が手伝ったら確かにまずいですけど、黙ってたら分かりませんし。なるべく中身見ないようにしますから。」

そう言って、再び近づいてこようとする葉山君に、もう一度断りを入れる。

「うん、ありがとう。でも、この作業、結構好きなのよね。ザクッて紙が切れる瞬間って、すっごく気持ちよくて。密かに、私のストレス解消になってるの。この裁断機にもすっかり愛着が湧いちゃって。見た目もかっこいいし、初心者お断りってのも硬派で良いし。機械なのに、私だけには気を許してくれてるとか思っちゃったりして。」

“彼”との仕事を後輩に任せたくない本当の理由を口にすれば、葉山くんは、何故かとても悔しそうな顔をして足を止めた。

「そんな、愛おしそうな目で、裁断機見つめないでください。」
「あ、気持ち悪かった?ごめんね。機械に萌えるなんて、変態みたいだよね。」
「…いや、普通に妬いただけです。」

彼の言葉に、思わず顔を上げて目を見開いた。

「妬けますよ。俺、山下さんのこと好きですから。」
「へ?」
「ああ、もう。やっぱり何も気が付いてなかったんですね。いいです、今日からは分かりやすく攻めますから。」

< 9 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop