大切な恋
2、秘密
みんな、お昼を食べに出かけて
オフィスには二人きりになった。
そっと私は彼に触れる。
「佳奈美、甘えたいのか?」
「ううん、ただ……」
「どうした?」
「ふ……触れたかったの。朝から、ずっと」
「俺もだよ。佳奈美」
彼の言葉に
軽くめまいを起こしそうになる私。
この時間が、彼との秘密。
二人だけの時間。
「大事なの。あなたとの時間が」
小さな声で彼に囁く。
「俺も」
体の芯が熱くなる。
「佳奈美」
「ん?」
「忘れさせない。俺の事も俺に関わった事も・・・・・・
すべて佳奈美にとって忘れられない思い出になるよ」
これ以上触れていると
ここがオフィスだという事も忘れ
どうにかなってしまいそうだ。
今はオフィスの中。
これは、二人だけの秘め事。