大切な恋
3、新しい出会い


いつも通り、彼は私の近くにいる。

業務時間内も
時折、私は彼を見つめていた。



私にとって彼は
いつだって最高に素敵。


私が彼を大事に思うように
彼も私を大事に思ってくれている。


そう信じていた……。






でも最近になって、彼の気持ちが何故か
ふらふらと揺らいでいるように思える。


私が触っても前みたいに応えてくれない。


むしろ、私達ふたりの出会い、そして思い出から
彼は遠ざかりたいと思っているように感じてきた。





「わたしのこと、嫌いになったの?」


「そうじゃない、ただ・・・」


「ただ、なんなの?」
少し感情的になっていた。

彼は、そんな私を
無表情で見ていた。


「少し、距離をおいた方がいいのかもしれないな……」




「え?」



どうして?

あんなに愛してくれた。

私達の思い出をあんなに大事にしてくれていたのに。





私の切ない気持ちが彼に少しも届かないまま、数日が流れた。



彼の気持ちは、どんどん離れていってしまっている。

そんな風に感じても
彼を繋ぎとめておく術を知らない。


無理に彼を縛り付けたくはない。
そう思っていた。







同僚の麻衣子から、ある人を紹介された。


「はじめまして!どうも、よろしくね。佳奈美さん」
最初からやけに爽やかで
フレンドリーな年下の男性だった。




会うたびに「今日もかわいいね」とか
「佳奈美さんの香り、俺好き」とか言ってくる。


明るい性格だし、ルックスもかなり私好みだった。




「そろそろさあ、新しいのに変えたら?」
麻衣子が彼を見て
気軽にそう言う。




「そんな・・・」


そんなことできる訳が……


冷たくされても

私から気持ちが離れてしまったとしても

私はまだ・・・・・・




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