溺愛彼氏の苦悩 【ぎじプリ】
午前中は彼には近づかなかった。

お昼を過ぎても…。


これ以上お互いを傷付けたくなかったから

デスクに近寄らず彼を避けるように仕事をした。


それにわたしは悪い事していない

彼が勝手に怒っていただけじゃないの!!

そう思いつつも頭の中は深い闇にハマるようで

浮上できず、その上に彼の辛そうな顔がこびり付き何も上手く運ばない



やっぱり彼が恋しい。

彼が好き このままでいるのはイヤ。



いつもデスクに座るわたしの後ろから優しく抱きしめてくれて

「寒くない?」

「ほら頑張りすぎてるから集中力が落ちてるよ 無理しないで」

「疲れているなら少し休んだら?」

どんな時でも優しい声で私を労わってくれる。



彼が愛おしく、そして今一緒にいれなくて寂しく仕方がない



耐えきれず彼に近寄る。

そして遠慮がちに彼の膝の隅に黙って座ると

彼の方から耳元にそっと話しかけてきた。



「ごめん…


コピー室に新しい奴が来ただろ

あいつがお前に色目使ってるの知ってる?


上品で柔らかい革をきこなし海外から来たスカし顔のチェアーの野郎

お前にいい顔するからヤキモチ妬いた…」


話しながらも真剣に拗ねている彼が可愛くって小さく吹き出した。


そんなこと考えていたなんて。


「バカね あなたは最高のデザイナーチェアーで

私はあなたが一番なのよ」

そっと彼に触れながら安堵の声で答えた。

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