七色の空
チャプター66
「ココにいること」

薄いブルーと、まだ今日の足跡を残していない早朝の砂浜。田舎の海辺の風景は殺風景であり、感傷的でもある。
砂浜に小さくたたずむ福生の姿が見える。腰を下ろし、その脇に松葉杖が静物として置かれている。
 小さな人影が福生に近付く。静かにゆっくりと二人の距離は縮まり、今、二人が目を合わせた。二人は何か話しているのか?遠くからでは、およそ二人の様子は分からない。
海があり、砂浜の上に男と女がいる。波の音だけが、二人の時間を共有しているような、解き放たれたその光景。
福生は賞金を林檎の母親に渡す為、静岡に来た。林檎は福生に会う為、ココへきた。
ココにいるということは、二人がまた何らかの方法でココを去るということ。 ココにいること。二人がいるということ。
二人は寄り添いながら、ウチに戻る前に少しだけ寄り道をすることにする。
二人の帰りを、朝食をつくって林檎の母親は待っていた。
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