七色の空
「君へと続く上り坂」
〜つづき
現実の世界では、福生の手術が行われていた。暗い廊下では、林檎が椅子に座り、手を合わせて福生の無事を祈っている。林檎は主治医の淳に告げられた、「今夜がヤマです」。
林檎は覚悟を迫られる。福生が手術室に入ってから既に5時間が経過した。まだ、林檎は死の恐怖を克服できない。願っても願っても、強い心で福生の無事を確信することができない。 遂に訪れてしまった。予想することも出来なかった程、本当に最期の瞬間が、此れ程までに強大だとは。 林檎の体は、粒子になって世界のあちこちに散りばめられそうなほど鼓動する。光の波が林檎をさらってゆきそうだ。林檎の魂は、もぉ世界を何周もしてしまった。
愛する人よ、そばにいて。アナタがいなければ、何もかも…
手術室の扉が開いた。手術開始から10時間が経過し、今の時刻は朝の16時半を少しまわっている。廊下のソファで疲れ果てて眠っている林檎の肩を、看護婦が優しくたたく。起き上がる林檎の目には、優しい看護婦の顔が映り、手術室から出てきた淳が林檎を真っ直ぐ見つめる。
泣き出しそうな林檎も真っ直ぐに淳の目を見つめる。
淳の両手が宙にまい、円を描いた。両手の先端が頭の上で合わさり、淳の両手は確かに〃マル〃と、林檎に伝えている。
林檎の目から大粒の滴がこぼれる。
この〃マル〃は、あとホンの少しだけ、福生が林檎のそばにいられる事を意味している。
あとホンの少しだけ…それは、生きた証。それは、愛の証。それは、夢の証。 福生が坂の頂上で見たものは?
頂上には何もなかったたのだ。頂上からは何も見えなかったのだ。福生が頂上に着いて分かったことは、そこからでは何も見つけられないということ。
人は、歩き続けなければならない。
〜つづき
現実の世界では、福生の手術が行われていた。暗い廊下では、林檎が椅子に座り、手を合わせて福生の無事を祈っている。林檎は主治医の淳に告げられた、「今夜がヤマです」。
林檎は覚悟を迫られる。福生が手術室に入ってから既に5時間が経過した。まだ、林檎は死の恐怖を克服できない。願っても願っても、強い心で福生の無事を確信することができない。 遂に訪れてしまった。予想することも出来なかった程、本当に最期の瞬間が、此れ程までに強大だとは。 林檎の体は、粒子になって世界のあちこちに散りばめられそうなほど鼓動する。光の波が林檎をさらってゆきそうだ。林檎の魂は、もぉ世界を何周もしてしまった。
愛する人よ、そばにいて。アナタがいなければ、何もかも…
手術室の扉が開いた。手術開始から10時間が経過し、今の時刻は朝の16時半を少しまわっている。廊下のソファで疲れ果てて眠っている林檎の肩を、看護婦が優しくたたく。起き上がる林檎の目には、優しい看護婦の顔が映り、手術室から出てきた淳が林檎を真っ直ぐ見つめる。
泣き出しそうな林檎も真っ直ぐに淳の目を見つめる。
淳の両手が宙にまい、円を描いた。両手の先端が頭の上で合わさり、淳の両手は確かに〃マル〃と、林檎に伝えている。
林檎の目から大粒の滴がこぼれる。
この〃マル〃は、あとホンの少しだけ、福生が林檎のそばにいられる事を意味している。
あとホンの少しだけ…それは、生きた証。それは、愛の証。それは、夢の証。 福生が坂の頂上で見たものは?
頂上には何もなかったたのだ。頂上からは何も見えなかったのだ。福生が頂上に着いて分かったことは、そこからでは何も見つけられないということ。
人は、歩き続けなければならない。