幼馴染みの期限
それどころか、まともに昼の休憩すら取れなかった。


少し休んで何か食べなさいと言ってくれた樺山さんに「大丈夫です!」と返事をして、買い置きしておいたゼリー飲料を一気に飲み干して、すぐに午後からの仕事に取りかかったのだ。


ー『忙しいのかな?』

ー『仕事が終わったら連絡下さい』

ー『今、渡瀬の職場の近くにいます』



仕事中はスマホを持つ事ができない。昼休憩から今まで業務が終わってこうして声を掛けられるまで、何度か送られていた向井くんからのメッセージに全く気がつかずに過ごしてしまった。


最後のメッセージが入っていたのが六時前。この寒空の下で三十分以上も待たせてしまった事になる。



「ごっ、ごめんなさい!」


慌てて謝る私に、向井くんは「大丈夫だよ」と言いながら傘の中に入れてくれた。


一気に近づいた距離に、緊張してしまう。


「あのね、仕事中はスマホ見られなくて……今日は休憩も取る暇が無くて……」



まともに目を合わせる事もできず、ちらっとのぞき見ながらゴニョゴニョと言葉に詰まる私を見て、向井くんは困ったように微笑みながら首を横に振った。



「謝らないで。こっちこそ、忙しかったのに急にごめん……こんなに申し訳無い顔をさせちゃうくらいだったら、一昨日に勇気を出して今日の約束を取り付けとけば良かった」


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