幼馴染みの期限
「俺……10年前のあの時、ただ辛い事から逃げる事しか頭に無かった。謹慎を受けてすぐ、親に携帯を取り上げられて……謹慎なんて家の恥だって散々責められた」


「謹慎中は、渡瀬の事を気遣う余裕も無くて、何で俺は何も悪い事をしてないのにこんな目に遭うんだって……そればっかり考えてた」


ーー向井くんは、私と連絡を取りたくても取れない状態になっていた。


私には広海が会いに来てくれた。両親も謹慎中は私の事を責めなかった。誰にも連絡が出来ない状態で親すらも味方になってくれなかった向井くんは、どんなに心細かっただろう。



「渡瀬と話したかった。でも、謹慎が明けた初日……俺は学校に行く勇気が出なかった。時間を置いたら、渡瀬とまた話せるチャンスがあるかもしれないって甘い事を思ってたけど、渡瀬はすぐに入院したし、携帯も取り上げられたままだったから、春休み中も連絡できなかった」


「新学期になったら渡瀬はもう特進クラスじゃなくなってた……そのうち、沖田と付き合い始めたって噂が聞こえてきて……俺は振られたんだって、渡瀬に確かめもせずに勝手に諦めた」


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