幼馴染みの期限
言葉を選ぶようにゆっくりと、向井くんは10年前の気持ちを語ってくれた。私はその一言一言を、噛み締めるように聞いていた。
私が知らなかった、向井くんの正直な気持ち。
当時は知る事ができずに諦めた気持ちを、お互いに確かめ合えなかった気持ちを、向井くんは全部伝えようとしてくれているのが分かった。
たぶんもう、私が『友達としても会えない』と言ったから、向井くんも、これが最後の会話だと分かってしまったのだろう。
だけど、ここは狭い田舎街だ。私達の職場も近いし、これから偶然に会う事もあるかもしれない。
……それでも、気まずくなっても、嫌われても、もう友達として会うことは、私にはできなかった。
身勝手な私を最後に責める事もできたはずなのに、彼はそうしなかったし、私の気持ちに真っ直ぐに向き合ってくれた。
「渡瀬の事を守ってあげられなくて、ごめん。でもね、これだけは分かって欲しい」
「渡瀬の事、好きだった。好きだったから忘れられなかったとか、後悔してるとか、そんな今の気持ちは全く関係無くて……あの頃は、ただ純粋に好きだった」
***
いつの間にか、雪は止んでいた。
マフラーの端をギュッと握りしめたまま立ち尽くす私に、向井くんはすっと右手を差し出してきた。
私が知らなかった、向井くんの正直な気持ち。
当時は知る事ができずに諦めた気持ちを、お互いに確かめ合えなかった気持ちを、向井くんは全部伝えようとしてくれているのが分かった。
たぶんもう、私が『友達としても会えない』と言ったから、向井くんも、これが最後の会話だと分かってしまったのだろう。
だけど、ここは狭い田舎街だ。私達の職場も近いし、これから偶然に会う事もあるかもしれない。
……それでも、気まずくなっても、嫌われても、もう友達として会うことは、私にはできなかった。
身勝手な私を最後に責める事もできたはずなのに、彼はそうしなかったし、私の気持ちに真っ直ぐに向き合ってくれた。
「渡瀬の事を守ってあげられなくて、ごめん。でもね、これだけは分かって欲しい」
「渡瀬の事、好きだった。好きだったから忘れられなかったとか、後悔してるとか、そんな今の気持ちは全く関係無くて……あの頃は、ただ純粋に好きだった」
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いつの間にか、雪は止んでいた。
マフラーの端をギュッと握りしめたまま立ち尽くす私に、向井くんはすっと右手を差し出してきた。