幼馴染みの期限

***

ギュッギュッギュッギュッ……



新雪を踏んだ時の、軋むような独特な足音が耳に響く。


施設の前で向井くんと別れて、私は家に向かって歩いていた。


肌を刺すように冷たい空気の中を、白い息を吐きながら足早に進む。



雪の積もらない駅前商店街のアーケードをくぐり抜け、また雪のうっすらと積もった大通りを歩き、コンビニを通りすぎて、私と広海の家がある住宅地へと続く緩やかな坂道を上る。



焦る気持ちから、ドカドカと乱暴に坂道を駆け上がってしまいたい衝動をぐっと押さえながら、薄く積もった雪の下に広がっているはずの凍った地面に足を滑らせないように、慎重に歩く。



ーー大丈夫。広海は、きっと待ってくれている。




そんな、確信に近い予感を胸に秘めながら私は歩いていた。



さっきはあれだけ不安だったのに……。


向井くんと話して、自分の想いに区切りを付けた途端に前向きになった現金な自分に苦笑する。



話したい事がたくさんある。


伝えたい大切な気持ちがある。


だから、お願いだから待っていてね。



祈るような気持ちで、一歩一歩足元に力を込めて家までの道のりを踏みしめた。

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