幼馴染みの期限
「……広海ー?……いる?」
そうっと中を覗くと、正面にあるベッドの上に、モコモコのベージュの塊を見つけた。
「……広海?」
モコモコの塊……もとい、毛布を被って寝そべっている広海は、眠っているのか呼び掛けにも全く反応がない。
机にクラフトバックと鞄を置いて、ベッドへと近づく。
ベッドの端に両手を置いて、見慣れた茶色の髪の毛がチラリと見える毛布の中をそっと覗きこんだ。
……やっぱり寝てる。
どうやら誰かを待ちながら眠ってしまった訳でも、今日誰かと何らかの約束があった訳でも無さそうだ。
だって、約束があったらこんな着倒すだけ着倒したスウェット姿で待機しているはずがないし、ゲームの画面を開いたままで寝落ちしているはずがない。
完っ全なリラックスモードだ。
スー、スーと静かに寝息を立てているその綺麗な顔を見ているうちに、自分でもよく分かんないけど、なんだか無性に腹が立ってきた。
私!今!……人生の中でもトップ3に入るくらい重大な決心をしてここに来たんですけど!!
八つ当たりだってわかってる……分かってるけど!
初恋を蹴って、人生で初めて好きな人に好きだとちゃんと告白をしようと決心してまでたどり着いた広海が、こんな緊張感の無いだらけ切った状態で待って(しかも待っててくれた訳でもない。ただ寝てるだけだ……)るなんて、ありえない!