幼馴染みの期限

***


「……えっ?」



聞き間違いかと思った。


離れて行こうとする彼女を、彼氏が必死に引き留めているような……まるで、恋人同士の会話みたいな言葉。


でも私達は、そんな関係じゃない。


もう幼馴染みでも無い。


『もう二度と俺の側に来ないだろ』なんて、意味が分かんない。


私が広海を好きな限り、私の方から離れて行く事なんて絶対にありえないのに。


……離れようとしているのは、広海じゃないの?




ーー 『樹里のこと、大好きだった』



昨日の広海の言葉に、私の心は凍りついたままだ。


気持ちを自覚した途端、抱き締められた腕の中で『失ったものを取り戻して来いよ』って言われて突き放された。


その時は確かにギュッとされて広海に包まれていたはずなのに、鼓動も、温もりも……香りすら感じられなかった。



「……どして、そんな事……言うの?」


次々に涙が溢れて頬を濡らしていく。


「私は……広海から離れたく……ないよ」


ポタポタと涙を溢しながら、しゃくりあげそうな声を抑えて気持ちを伝えた。

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