幼馴染みの期限
「泣くなよ」
広海が私の頬へと手を伸ばして、涙を押さえるようにそっと触れた。
「俺は……俺の気持ちを知ったら、お前はすぐに俺からも離れていくんだろうなって思ってた」
『何で?』
そう思ったのが伝わったらしい。広海は苦笑しながら、「『何で?』とか、言うなよ。散々気持ちを向けられたくせに、全力で逃げ切ってたヤツの言う言葉じゃないからな」と言った。
それこそ、『……何で?』だ。
思わず眉をひそめたら、広海は「フラれたヤツらがかわいそうだな」と言って、ため息をついた。
「……だから、前にも言っただろ?お前はさ、誰かに好かれたいくせに自信が無くて、言い寄られたって、この人は自分じゃなくて他の誰かの事を好きなんだって勝手に思いこむ」
「だから……俺の気持ちを知ったら、本條か……違うな。才加あたりとくっつけようと必死になるんじゃないかって思ってた」
確かに広海に告白はするつもりだったけど、才加に気持ちがあるのなら、全力で応援しようと心に決めていた。
心当たりがありすぎる事をサラリと口にして、広海は真っ直ぐに私の目を見て言い切った。
「先に言っとくからな。俺は、才加の事は友達以上には思ってない。他の女だって同じだ。友達以上に思える女なんて……ずっと側にいて欲しい女なんていない」
「俺が唯一側にいて欲しいと思っているのは、ずっと離れたくないのは……樹里、お前だけだ」