幼馴染みの期限

広海からの返事は無かったけど、抱き締め返してくれていた両腕にキュッと少しだけ力がこもる。


『離れないで』と病室で話をした、あの日の事を思い出したんだと思った。


私も今朝、10年前の事を夢で見た時に思い出したんだ。


……最初に『離れないで』って言ったのは、広海の方だったって。



『もう離れない……俺は、樹里の側にいたい』



そう言われて、側にいたい、いさせて欲しいって気持ちが伝わって来て、私も同じ気持ちだったから、私からも広海に『離れないで』って言ったんだ。




「私は、広海の事が好きだよ」



「ずっと言えなかった。でもずっとずっと言いたかった」



美桜と離れてから10年間……いや、それよりもずっと昔から、私達は一緒にいた。



二人で決めた幼馴染みの期限が来て、幼馴染みじゃなくなって悲しかったけど……


もう幼馴染みでも、ただの腐れ縁でもないから、私は広海に想いを伝える事ができるんだ。




「広海はまだ、私の事『好き』?もう好きじゃない?」



「それとも……『大好き』?」


< 295 / 345 >

この作品をシェア

pagetop