幼馴染みの期限
「否定してもしなくても、みんな付き合ってるって思ってるんでしょ?……じゃあ、どうして今、異動願いを出したの?」
「樺山さんから聞いたのか?……俺から話すって言ったのに」
そう言うと、広海はチッと舌打ちをした。
「あの人には、俺達がデイに入った頃から、黙って見逃す代わりに二人の関係に何か変化があったら、その時は俺が異動しろってずっと言われてたんだ」
「それこそ、別れるような事があっても、だとよ」
……まだ、付き合ってもいないのに?
「……はぁ」
あまりにも予想外な話に何も言えず、私はポカンと口を開けたまま黙りこむしかなかった。
「樺山さんは、お前を手離したくないんだよ。だけど、何かあったら飛ばされるのは女のほうだって知ってるから、俺に釘を刺したんだと思う……詳しく聞いた事はないけど、昔色々あったみたいだからな」
私も、ちょっとだけ噂で聞いた事があった。元々樺山さんは特養にいたけど、同僚だった恋人が別の職員と浮気して……でも、なぜか樺山さんがデイの方に異動になったって。
だけど、慣れた仕事を離れて異動させられるのは、女だろうが男だろうが誰だって納得できないはすだ。
「広海は、デイの仕事はもういいの?」
「……私と離れても平気なの?」