フテキな片想い
「今、起きたみたい」
とても演技と呼べない棒読みの返事をする。
「ちょっと真央と話したいんだけど、いいかな?」
「もちろん」
お兄が扉を開け、部屋に上がると同時に、美雨が立ち上がった。
「じゃあ、私、リビングにいるね。兄弟水入らず、どうぞごゆっくり」
お兄とすれ違った美雨はそう言って、部屋を出て行った。
扉を閉める時、何故か俺の顔を見て、ニッと笑った。
「同じ場所に寝癖付いてる。やっぱり、真央と玲央さんって兄弟だね」
美雨の指が右耳の後ろを指すと、お兄も俺も同じタイミングで寝癖を整えていた。
「何?話って」
ベッドの上で胡坐を掻く俺は、生あくびをしながら、後ろ頭を掻いた。
「まずは、おはよう」
お兄は律儀に、ベッドの脇に正座して、俺と対峙した。お兄が俺を見上げているので、ベッドの上にいる自分が、殿様みたいで偉そうに見えて嫌だったから、腰を上げて床に座り直した。
「はよ」と素っ気なく、返す。
お兄の表情はいつもより硬い気がした。星夜みたいにいつもニコニコしたお兄の顔色が、今日は冴えない。
「何?柄にもなく、緊張してんの?」
「……緊張するよ。新年早々、結婚パーティー開くなんて、言うんだから」