フテキな片想い
安定期に入った晴美さんは、ここの所、体調がいいみたいだった。
腹もまだそんなには目立っていないし、入籍するなら結婚パーティーを開いたらどうかと、提案してくれたのは、晴美さんのお店のスタッフたちだった。
晴美さんはインポート家具店のオーナー、つまり女社長だ。
晴美さんの妊娠&結婚を祝して、以前、お店のオープンの際に家具の受注したレストランを貸切りにして、仲間内のみの結婚パーティーを開こうと企画した。
レストランには、正月休みの一日を貸切りでオープンして貰う。
お店側が快く引き受けてくれたのは、晴美さんの日頃の働きぶりによる信頼関係からなのだろう。
正月早々、数十人の仲間が集まってくれる予定だ。
「美雨ちゃんが、「せっかくだから、タキシード着なよ」なんて言うから、畏まったパーティーじゃないのに、緊張しちゃって、昨日はよく眠れなかった。この時期にわざわざ集まってくれる人たちにも、申し訳ない気持ちでいっぱいなのに」
「美雨が言ってたんだ。晴美さん、ウエディングドレス着たことないらしいから、着せてあげたいって」
「……そっか」とお兄は床に視線を落として、頷いた。
「……真央」
少しの沈黙の後で、お兄が俺の名前を呼んだ。「ん?」と顔を上げる。
「僕たちは、父親が違うし、施設で育ったし、真央からしたら、赤ちゃんだったから、母親の記憶すらないのだろうけれど___」