フテキな片想い
「これだけは覚えておいて。僕にとって真央は、血の繋がりのあるたった一人の家族なんだ。大切な弟なんだ。それは、真央が生まれてから、今も、これからもずっと変わらないんだ。真央がいなかったら、今の僕はいなかったと思う。人生に悲観して、自殺してたかもしれないし、逆に物凄く道を外して、社会のはみ出し者になってたかもしれない。真央が僕を現実に繋ぎ止めてくれてたんだよ」
お兄はそう言って、俺の手を強く握りしめた。
鼻の奥がつんとして、目頭が熱くなるのを、眉間に力を込めて誤魔化した。
「荷物なんて思ったこと、一度もない。真央がそんな風に思ってた事が、僕には心外だ。僕は晴美さんと出会って恋をして、この人と家庭を築いて行きたいって思ったんだ。僕は家族に対しての憧れが強い。感情だけで、突っ走ってしまって、真央や美雨ちゃんを巻き込んで、迷惑を掛けてしまって、本当に申し訳なかった。それは、すごく反省してる」
お兄はそう言うと、姿勢を正し、頭を下げて詫びた。
「……お兄は真面目過ぎるよ」
俺は胡坐を掻いたまま、鼻の辺りをいじりながら、ツッコミを入れる。
「ガキが生意気言うな!誰のお陰でここまで育って来たと思ってる?俺が決めたことは絶対だ!って頑固オヤジさながらにキレればいいのに、俺、お兄には一生頭が上がらないと思うし、こう見えて世界中の誰よりも尊敬してるんだから」