フテキな片想い
お兄が膝を崩して、空を見つめながら呟いた。
「振ったの後悔してんのか?」
「……知ってたの?」とお兄は驚いた顔をしていた。
「同い年だし、同じような境遇だから共感する事も多いし、意外に絆が深いもので……」とボソボソと呟くと、「そうだよね。そりゃ、一番近いし、親友にもなるよね」とお兄は声を上げて笑った。
「そうだね。ちょっと、後悔してるかな。美雨ちゃんは将来はすごく魅力的な女性になるだろうね。あ、晴美さんには内緒だよ。兄弟の間だけの秘密ってことで」
黙って頷くと、「話の分かる弟だ」と頭をわしゃわしゃと撫でられた。「ったく、いつまでも子供扱いすんなよ」と文句を言いつつも、「今更後悔しても、もう美雨は俺のものですからっ!」とお兄に対する優越感から、自然に顔がにやけている自分に気付く。
『俺の』
今は胸を張って言える。なかなかいい響きだ。
「……おめでとう」
「何が?」
「そう言えば、ずっと言うの忘れてた。赤ちゃん、晴美さんの妊娠おめでとう。俺、生まれて来るなら、弟がいい」
何だかんだで言いそびれてしまっていたおめでとうを、この際だから伝えておく。
「参ったな」そう言って、お兄は寝癖の髪を引っ張った。
「美雨ちゃんには、妹が欲しいって言われてるんだけどな」